鈴木之恵は気分が落ち込んでいた。このパーティーにはもう意味がない、ただ皆が飲み食いしているだけだから、部屋に戻ろうと思った。
二階に上がると、階段の所で男性たちが言い争う声が聞こえた。その一つは彼女がよく知っている八木修二の声で、もう一つは間違いなく村上拓哉の声だった。
鈴木之恵が最後の二段を上がって曲がると、廊下の奥で二人の男性が何かで口論していた。
八木修二は眉間にしわを寄せ、蠅が挟まって死にそうなほどだった。
二人とも鈴木之恵の姿を見て、村上拓哉は憤慨して言った。
「お嫂さんに判断してもらおう。こんな理不尽な人いないよ!」
鈴木之恵は自分の名前が呼ばれたのを聞き、ゆっくりと近づいて尋ねた。
「何かあったんですか?」
村上拓哉は公平な判断をしてくれる人が来たのを見て、告げ口モードに入った。