第160章 そんなに男が欲しいの?

藤田深志は無意識にズボンのポケットをタバコを探すように触ったが、空っぽだった。

彼女の冷淡さと無関心を目の当たりにしてきたのに、彼女がすでに次の相手を探し始め、お見合いさえも拒まず、むしろLINEでやり取りまでしていることを知らなかった。

彼女はまだ藤田家の戸籍に載っているというのに、堂々と彼の目の前でお見合い相手とチャットしている。

「そんなに男が欲しいのか?」

鈴木之恵は彼が何に皮肉を言っているのか分かっていた。藤田深志のあの独占欲の強い性格は普段から他の男性との付き合いを嫌がっていたのに、今このようなメッセージを見て、きっと怒り爆発寸前だろう。ここが病院だから必死に抑えているだけで、場所が違えば、自分は殺されていたかもしれないと思った。

鈴木之恵は彼がそれほど怒っているのを見て、心の中で何か快感が湧いてきた。なぜ自分が何でも彼の言うことを聞かなければならないのか?

「そう、男が欲しいの。」

彼女は彼の目の前で先ほどの会話を開き、相手にメッセージを返信した。

【あなたの条件を受け入れます。】

メッセージを送信する前に、藤田深志は彼女の腕を掴んで、雛を持ち上げるように外に連れ出した。その手には十分の力が込められていた。

怒りの程度が見て取れ、まさに激怒状態だった。

「何するの?離して!」

藤田深志は彼女の言葉を無視して直接車に連れて行き、後部座席に押し込んだ。次の瞬間、彼は彼女に覆いかぶさり、鎖骨に激しく噛みついた。まるで血に飢えた野獣のように。

狂ってる!

鈴木之恵は必死に抵抗したが、彼女のちっぽけな力は彼にとって取るに足らないものだった。怒りに任せている身長190センチ近い男性を、どうやって押しのけられるというのか?

藤田深志は彼女の両手を頭上に上げ、ゆっくりとネクタイを解き、シャツのボタンも数個外した。

「男が欲しいなら簡単だ。今日、満足させてやる。」

鈴木之恵は泣きそうになった。病院のような場所で、こんなふうに押さえつけられるとは思いもしなかった。分かっていれば、大人しくしていたのに。なぜ彼を挑発してしまったのか。

「藤田深志、こんなことして面白いの?」

女性は愛があってこそ関係を持つもの。お腹に赤ちゃんがいることは置いておいても、たとえいなくても彼女は望んでいない。