第200章 来世は妻を大切にしよう

車が仁愛病院の駐車場に停まり、アクセルペダルが煙を上げそうなほど踏み込まれていた。

柏木正は藤田深志のためにドアを開けた。彼は道中ずっと黙り込んでいて、血に染まった両手から目を離せないようだった。柏木正が何度拭いても、完全には取り除けなかった。

「社長、病院に着きました。確認したところ、奥様は救急車でここに運ばれたそうです。降りましょうか?」

藤田深志は柏木正の言葉を聞いてようやく我に返り、目を上げて一字一句はっきりと尋ねた。

「柏木秘書、人はどれくらいの出血で助からなくなるんだ?」

柏木正は胸が締め付けられる思いで、急いで慰めた。

「社長、そんな縁起でもない話はやめましょう。もし亡くなっていたら、救急車で病院に運ばれることもなかったはずです。奥様は今きっと病室で社長をお待ちのはずです。まずは上に行って様子を見ましょう。」