第208章 彼女は去ったが、どこにでもいる

車が動き出し、鈴木之恵は窓の外の街並みを眺めていた。彼女は初めて東京都に来て、すべてが見慣れないものだった。

車は高級住宅街に入っていった。

おばあさまは彼女の手を取りながら説明した。

「この家は使用人用よ。あっちはあなたの叔父夫婦の家、そしてあの一番素敵な家があなたの…」

鈴木之恵は鈴木家が南方の超一流名家だと知っていたが、こんなにも豪華だとは思わなかった。使用人にまで独立した豪邸があり、しかもこの一帯の家屋すべてが鈴木家の所有物で、鈴木家の不動産会社が開発建設し、世界最高級の材料を使用し、内装も極めて豪華だった。

藤田家は京都府ですでに超一流の名家で、南方の鈴木家と並び称されるほどだが、住居に関してはここまで派手ではなかった。

鈴木之恵は田舎者のように感じながら、おばあさまに手を引かれるまま、豪華な大邸宅の中を見て回った。