第302章 自虐を求めて

鈴木由典を見送った後、鈴木之恵は心ここにあらずに部屋の片付けをしていると、弘文の驚きの声で我に返った。

「わぁ、すごい!限定の恐竜レゴだ!」

鈴木弘文は新しく開けたブロックの箱を大切そうに抱きしめた。このレゴは今年発売された限定品で、彼はずっと欲しがっていた。前にもママに何度かねだったけど、公式サイトで予約しても当選しなかったのだ。

「ママ、どのおじさんがこんなプレゼントをくれたの?すごいね、限定品まで手に入れられるなんて。」

鈴木弘文は興奮を抑えられなかった。

鈴木之恵は少し黙ってから、

「あなたが会ったことのないおじさんよ。ママが京都府で働いていた時の上司なの。」

鈴木弘文は目を輝かせて、

「じゃあ、ママからお礼を言っておいて。すっごく気に入った!」

鈴木之恵は微笑んで、