第309章 甥の嫁を好きになる

鈴木之恵は足首をさすりながら、ハイヒールは女性のために特別に作られた拷問道具だと思った。よく履いているのに、まだ水疱ができてしまい、これ以上踊れば皮が破れてしまいそうだった。

藤田深志は彼女の動きに目を向け、彼女の足の後ろが赤く擦れているのを見た。眉間にしわを寄せ、すぐに携帯を取り出して柏木正に電話をかけた。

「奥様用のフラットシューズを持ってきてくれ。それと、薬局でヨードチンキ、外用薬、絆創膏も買って、今すぐ来てくれ。」

鈴木之恵は彼を見上げて言った。

「必要ありません。そんなに大げさじゃないわ。ここに座って動かなければ大丈夫です。もう少ししたら帰りますから。」

鈴木之恵は、柏木正にも家庭があることを知っていた。四年前に婚約していたのに、今まで結婚できていないのは、きっとあのけちな上司のせいだろう。どこの秘書が24時間待機で年中無休なのか？夜遅くに人を走らせて靴を届けさせるなんて、柏木正が後で彼女を恨むかもしれない。