第434章 このクソ野郎に完勝させてしまった

鈴木之恵は怒り心頭でした。

「場をわきまえてよ。目上の人がいるのに、あなたったら……」

鈴木之恵は呆れて、最後に三文字を投げかけました。

「恥知らず!」

藤田深志は終始口角を上げて彼女の様子を見ていました。後ろから抱きしめながら近づいてきて、

「之恵、大したことじゃないよ。何もしてないじゃない、ただキスしただけだよ。おじいちゃんは経験者だから、気にしないよ。明日には忘れてるさ。今の私たちの関係で、キスくらい何の問題もないでしょう?」

鈴木之恵は怒りが収まらず、腰に回された彼の手を振り払いました。

「藤田深志、私たち二人の間にルールを決める必要があると思うわ。こんな風に場所を選ばずに好き勝手するのは止めましょう」

藤田深志は彼女を向き直らせ、二人が向かい合うと、眉を上げて尋ねました。