第457章 女を探してくれないか?

村上拓哉はこれまでの人生で順風満帆で、大きな問題に直面したことがなかった。医者の言葉は彼に大きな衝撃を与え、しばらく頭が回らなかった。

「お母さん、父さんはいつも健康だったじゃないか?どうして急に...」

村上夫人は目が腫れて赤くなっていた。

「最近、めまいがすると何度か言っていたの。健康診断に行くと言っていたけど、行かなかったわ。最近は会社の仕事が忙しくて手が回らなかったの。今日、突然会社で倒れて、秘書が救急車を呼んで病院に運ばれたの。私が電話を受けた時には、もう検査が始まっていたわ。」

村上拓哉は顔色が青ざめた。この家で父が倒れたら、彼が支えなければならない。これまで二十数年間、のんびりと気ままに生きてきた彼に、突然この重責が降りかかってきて、途方に暮れた。

会社の業務について、父は早くから彼に慣れさせようとしていたが、彼は怠けてばかりで、自由気ままな生活を送っていた。

今、彼は必死に冷静さを保とうとした。彼がパニックになれば、母と妹はもっと混乱するだろう。

「お母さん、まず入院の手続きをしよう。この分野の権威ある専門医に相談して、この病気の深刻さを確認してみるよ。」

村上夫人は体の力が抜け、頭の中に何かができているなんて、深刻でないわけがない。今は村上社長の頭の中にあるものが良性であることを祈るばかりだった。悪性だったら、この家は崩壊してしまう。

村上拓哉は一気に成長したかのように、すぐに下階に行って入院手続きを済ませた。

村上社長は一般病室に移され、腕に点滴が施された。点滴が半分ほど落ちた頃、ゆっくりと意識を取り戻し、目を開けると最初に目に入ったのは、あてにならない息子の姿だった。目を巡らせると、次に美しい娘が目に入った。

村上社長は笑顔を浮かべ、村上拓哉に尋ねた。

「彼、彼女か?」

村上拓哉は頭を掻きながら、

「お父さん、何を言ってるの?これは鈴木之恵さんだよ。藤田深志の奥さんだよ。」

村上社長の目の輝きが徐々に失せていき、話す気力を失った。

「お前は帰れ。ここにいる必要はない。」

村上夫人は涙ながらに言った。

「何を言い出すの。大切な息子を、どこに追い出そうというの?」

村上社長は目を閉じたまま口を開かない。

「もういい。これは心の病なんだ!」