藤田深志はカルマジュエリーを出ると、まず田中晃に電話をかけ、容赦なく罵倒し、最後には彼を干すと脅した。
彼は怒り心頭だった。
田中晃は女神を巻き込んでしまったことを自覚していた。直接の原因ではないにしても、この件は彼に端を発していた。
「兄貴、ファンを制御します。もう怒らないでください…」
罵倒があまりにもひどかった。
藤田深志は階下で柏木正を見かけてようやく我慢し、最後に警告した。
「お前のファンをしっかり管理しろ。これ以上何か過度なことをすれば、この業界でやっていけなくなるぞ!」
田中晃は再三約束した。
「兄貴、ファンをちゃんと管理します!誰が彼女に手を出そうとしても、簡単には許しません。」
電話を切ると、柏木正が報告に来た。
「社長、その人物が判明しました。田中晃の熱狂的な女性ファンのリーダーで、彼女は密かに反田中晃グループを組織し、奥様に危害を加えようとしています。」
「相手はどんな人間だ?」
「広告会社の一般職員で、アイドル追っかけが趣味です。かなり有名な私生ファンで、仕事が終わるとアイドルを追いかけ回し、時には休暇を取って地方までアイドルを待ち伏せするような、かなり狂気的な人物です。」
「警察に通報して、弁護士に任せろ。」
「すでに松本弁護士に連絡を取っています。決して見逃すことはありません。」
「それと、SNSで奥さんを中傷した者たちも、全てのアカウントを洗い出せ。一人も見逃すな。この件は徹底的に追及する。」
柏木正は頷いて微笑んだ。彼は長年藤田深志に仕えており、社長の行動様式とスタイルを熟知していた。藤田深志の指示を待つまでもなく、すでに着手していた。
「社長、調査中です。退社までに、それらの人物を一人残らず特定し、松本弁護士に一括して引き渡します。」
藤田深志は柏木正の仕事ぶりに満足した。
「階下の警戒は終わったか?不審者はいないか?」
柏木正は部下たちと階下で半日張り込み、二人の不審な男性を発見したが、調査の結果、奥様の私設ボディーガードだと判明した。
「社長、一通り確認しました。階下には奥様のボディーガードが二人いますが、他に不審な人物は今のところ見当たりません。」
「ボディーガード?」