藤田深志が家に入ったとき、叔父を見かけて、一瞬表情が固まった。
藤田晋司は退院してから老人に治療を受けさせられていたが、これが初めて家で彼を見かけたのだった。
藤田晋司は以前より顔色がよくなっていたが、体はさらに痩せて、顔の輪郭がより立体的になっていた。
叔父と甥の間にどれほどの恨みがあろうとも、老人の前では仲良く振る舞わなければならず、演技でもしなければならなかった。
「深志、帰ってきたのか?」
藤田深志は靴を脱ぎながら「うん」と返事をした。
「この数日の治療はどうだった?」
「まあまあだよ。そうでなければ、おじいさんも病院から退院して家に戻ることを許可しなかっただろう」
藤田深志は頷いた。
「それならよかった。君が戻ってきてくれれば、おじいさんの面倒も見られる」