陶山蓮華は嬉しそうに言った。
「ありがとう、之恵。」
鈴木之恵は少し口元を上げただけで何も言わなかった。
陶山蓮華はさらに鈴木弘文と鈴木弘美に尋ねた。
「弘文、弘美、二人はおばあちゃんと出かけたい?遊園地に行きたい?それとも子供用の射撃場?それとも動物園はどう?」
鈴木弘文と鈴木弘美は迷っていた。彼らはこの突然現れたおばあちゃんとまだ親しくなっておらず、最初の印象も悪かった。ずっとママをいじめる悪い人だと思っていた。
でも昨夜、パパとママは二人に、向かいに座っているこの人は彼らの実のおばあちゃんで、彼らをとても愛していると教えてくれた。
二人の子供たちはなかなか答えず、陶山蓮華は少し気まずそうに待っていた。
藤田晴香はその様子を見て言った。
「じゃあ、おばさんがショッピングモールでぬいぐるみを取りに連れて行くのはどう?ぬいぐるみを取った後、パパの会社でロボットを持って帰りましょう。」
二人の子供たちの目が輝き、すぐに答えた。
「いいよ〜」
こうして話は決まった。
藤田深志は数口食べて箸を置いた。
「あなたたちは子供を連れて出かけた経験がないから、外出するときは必ず安全に気をつけて、子供から目を離さないで。今は誘拐犯が横行していて、手口も多様で、防ぎきれないこともある。」
陶山蓮華は何度も保証した。
「大丈夫よ、大丈夫。ママはあなたたち二人を育てたんだから、子供の面倒は見られるわ。自分が迷子になっても子供を失くすことはないわ。」
藤田深志は心配で、出かける直前にもう一度電話をかけてボディガードを二人呼び、彼らと一緒に出かけた。
別荘はすぐに静かになった。小柳さんは若い夫婦がリビングにいるのを見て、急いで仕事を終えて部屋に戻った。広い家には二人だけが残された。
鈴木之恵が薬箱を取り出し、彼の膝に薬を塗ろうとしたとき、柏木正が外から入ってきた。
「藤田社長……」
柏木正はここ数日、藤田深志から離れず、昨日社長に追い払われてからずっと心配していた。こちらの状況がどうなっているのか分からなかった。
藤田深志は目を上げて彼を見た。
「この数日は私のことは気にしなくていい。会社の仕事に戻りなさい。」