第66章 南雲泉が結城暁をブロックした

結城暁からの電話だと分かり、南雲泉は考えることもなく、すぐに切った。

「なぜ出ないの?」と桐山念が尋ねた。

「出たくないの。出たら逆に気分が悪くなるから」

桐山念は同意して頷いた。「私もそう思う」

一方、結城暁は胸に怒りを溜め込んでいた。特に南雲泉に電話を切られた後は。

彼は二度目の電話をかけた。

三度目の電話も。

結果は例外なく、すべて南雲泉に容赦なく切られた。

結城暁が再び電話をかけようとした時、自分がブラックリストに入れられていることに気付いた。

すぐにLINEを送った。「ブロック解除して」

南雲泉は故意に分からないふりをした。「何を解除するの?」

「ブラックリストから外して」

あぁ、気付いているのね。

それならなおさら良かった。今の彼女は機嫌が悪く、彼をブラックリストに入れたままにしておきたかった。

気分が良くなったら、その時に解除しよう。

タピオカミルクティーを飲み終わり、二人は買い物を続けた。

目に入ったのは非常に大きな店で、中には様々な美しいドレスが並び、デザインもとても斬新だった。

南雲泉と桐山念は一目見て気に入り、二人は興奮して店内に入った。

すぐに、南雲泉はアプリコット色のシフォンのミニドレスを選んだ。

ドレスの生地は特に軽くて透け感があり、触り心地も非常に良く、南雲泉は一目見た瞬間に気に入った。

さらに重要なことに、このドレスは腹部のデザインが完璧で、お腹が全く目立たず、彼女にぴったりだった。

南雲泉は店員の案内でドレスに着替え、出てきた時すぐに声をかけた。「念、どう?きれい?」

「……」

意外にも、返事がなかった。

「念?」南雲泉がもう一度呼びかけたが、桐山念は側にいなかった。

彼女はドレスを着たまま、あちこち探し回り、最後にメンズコーナーで桐山念を見つけた。

南雲泉が近づいた時、桐山念は目の前の青いスーツを丁寧に触っていた。彼女の表情は真剣で、時々眉をひそめ、時には眉を緩めて笑顔を見せていた。

おそらくあまりにも真剣だったため、南雲泉が隣に立っていても、桐山念は気付かなかった。

桐山念が見終わるまで、店員がすぐに笑顔で近づいてきた。「お客様、お目が高いですね。このスーツは今日入荷したばかりの限定品で、生地も裁断も……」