結城暁からの電話だと分かり、南雲泉は考えることもなく、すぐに切った。
「なぜ出ないの?」と桐山念が尋ねた。
「出たくないの。出たら逆に気分が悪くなるから」
桐山念は同意して頷いた。「私もそう思う」
一方、結城暁は胸に怒りを溜め込んでいた。特に南雲泉に電話を切られた後は。
彼は二度目の電話をかけた。
三度目の電話も。
結果は例外なく、すべて南雲泉に容赦なく切られた。
結城暁が再び電話をかけようとした時、自分がブラックリストに入れられていることに気付いた。
すぐにLINEを送った。「ブロック解除して」
南雲泉は故意に分からないふりをした。「何を解除するの?」
「ブラックリストから外して」
あぁ、気付いているのね。
それならなおさら良かった。今の彼女は機嫌が悪く、彼をブラックリストに入れたままにしておきたかった。