道のりが少し遠かったため、着いた時にはもう昼になっていた。
故居は江南の小さな町にあり、人々で賑わっていた。
見渡すと、どこも生活の息吹で溢れており、南雲泉は急に懐かしさを感じた。
彼らはまず祖父母の古い家に向かった。門の前に立つと、南雲泉は少し驚いた。
古い家は青レンガで作られており、濃厚な町の特色を持ち、一目見ただけでとてもシンプルで素朴で、数十年前の風情を保っており、少し古びて見えた。
結城暁は説明した:「おじいちゃんとおばあちゃんは昔ここに住んでいたんだ。ここで結婚して、父もここで生まれたんだよ。」
「後に裕福になっても、おばあちゃんは昔を懐かしんで、この古い家には彼女とおじいちゃんの思い出が詰まっていると感じていて、とても大切にしていたから、ずっと元のままの姿を保っていて、改装することはなかったんだ。」
「おばあちゃんが生きていた頃は、お正月や祝日になると、私たちはいつも時間を見つけて数日間遊びに来ていた。おばあちゃんが亡くなった後は、おじいちゃんが物を見て思い出して悲しむことを心配して、来る機会は減ったけど、それでも来ていたんだ。」
南雲泉は一歩一歩、中へと進んでいった。
彼女はゆっくりと歩いた。家は古くなっており、木で作られた多くの門枠は色が剥げ、木の素地が見えていた。
しかし、彼女はこの家が特別に気に入った。
結城暁から祖父母が昔この古い家で過ごした話を聞きながら、南雲泉は自分もその時代に入り込んだような気がした。
彼女が結城家に来た時には、おばあちゃんはすでに亡くなっていた。
だから、彼女はおばあちゃんに会ったことがなかった。
写真さえも見たことがなかった。
正門を入ると、中庭の地面は青い石畳が敷かれており、町のどこでも見られる景色だったが、南雲泉は独特の趣があると感じた。
さらに驚いたことに、中庭の右側には木々が一列に植えられており、緑豊かで非常に生い茂っていた。中庭の左側には小さな花園があり、そこには様々な花々が咲き誇っていた。赤、黄、白と、とても鮮やかで美しかった。
南雲泉は驚きと喜びで駆け寄った:「わぁ、本当に綺麗!ここにまだ花があるなんて!しかもこんなに見事に咲いているなんて。」