「退院手続きは済ませましたので、いつでも退院できます」
この言葉を残し、結城暁は病室を後にした。
彼の後ろ姿は、孤高で決然としていた。
一片の未練も惜しさも見せなかった。
その背中を見つめながら、藤宮清華は哀しげに微笑んだ。
離れれば離れるほど良い?
ふん、これが彼の望みだったのね。
いいわ、望み通りにしてあげる。
そのとき、ノックの音がして、中年女性が二人と中年男性が二人入ってきた。
彼らは藤宮清華の前に恭しく立ち:「藤宮さん、私たちは結城さんに頼まれてあなたの世話をすることになりました。何か必要なことがありましたら、なんでもおっしゃってください」
二人の女性の助けを借りて、藤宮清華は車椅子に座った。
そして病院を出て、自宅まで戻った。
しかし、寝室に着くや否や、藤宮清華は数人を部屋から追い出した。