第34章 彼女が風邪を引かないように

彼女は眠ってしまった。彼が我慢できなくなり、むやみに突っ込もうとした時だった。

藤原月は突然怒りと笑いが込み上げてきた。先ほどの「月」という寝言は何だったのだろうか。

とりあえず彼女から離れ、自分の体が痛むのを感じ、シャワーを浴びに行くしかなかった。

10分もしないうちに、寝室に戻ると彼女がベッドに座っているのが見えた。

目を閉じたまま、両手を服の中に入れている。

しばらくすると、黒い小さな物を襟元から引き出した。満足げな表情を浮かべた後、また横になって深い眠りについた。

藤原月は……

もし彼女の泣きはらした目でなければ、彼は本当に、彼の体中に鼻水を擦り付けた女の子が、今この静かな女の子なのかと疑っただろう。

偶然に彼女が脱いだ下着を見て、そして彼女の胸元を見て、ため息をついた!

やはり期待してはいけない!

——

翌朝7時過ぎ、高橋真子はなかなか目覚められず、動くたびに頭が割れそうに痛かった。

しかし携帯の着信音が鳴り続けるので、手を伸ばして取ろうとした。

しかし彼女より先に手が伸び、携帯を取った。そして聞き慣れた声が聞こえた。

「彼女はまだ寝ています。何か用件があれば私から伝えましょう!」

「私です!藤原月です!」

「分かりました!木村さん、うちの真子をお世話になりありがとうございます。」

声は次第に柔らかくなっていった。

高橋真子はゆっくりと目を開け、黒いスラックスに白いワイシャツを着た男性が彼女のベッドの傍に立っているのを見た。長いまつ毛が震え、透き通った瞳で彼の姿をはっきりと捉えた。

そして即座にベッドから飛び起きた。「あなた、どうしてここに?」

藤原月は彼女を見て微笑み、彼女の反応を予想していたかのように、出て行く前に一言だけ言った。「早く起きて朝ご飯を食べなさい。」

高橋真子は彼が出て行くのを見つめながら、頭の中がまだぐるぐると回っていた。本当に頭が爆発しそうだった。

昨夜、彼は確か詩織と一緒に帰ったはずなのに、なぜ今朝ここにいるの?

何なの?

高橋真子は急いで起き上がろうとしたが、布団をめくる前に自分の体が空っぽなことに気付いた。目に入ったのはベッドの足元に置かれた男女の服だった。

女性のは分かる、自分のものだ!

男性のは……