第19章 彼女を部屋に押し込んだ

お爺様とお婆様、そして藤原月の両親、執事と家政婦が、そこに立っていた。

藤原月は皆の間を通り抜け、空いているスペースで突然立ち止まり、皆に背を向けた。

皆は彼の様子の異変を感じ取り、彼を見つめ、何か言葉を発するのを待っていた。

しかし彼は長い脚で外へと歩き出すだけだった。

お爺様と藤原直人は控えめに藤原月の後を追った。

お婆様と大和田好美はまだ入り口にいて、お婆様は小声で彼女を呼んだ。「真子ちゃん！」

「真子ちゃん！」

大和田好美も彼女を呼んだ。

高橋真子は彼女たちが自分を好いていることを知っていた。この家の一員になってほしいと思っていることも分かっていた。この瞬間、その「真子ちゃん」という呼び方に、突然恥ずかしさを感じ、思わず頭を下げた。「ごめんなさい、お婆ちゃん、お母さん！」

「バカな子ね、何を謝るの？あの子があなたを大切にしなかったのよ。未亡人になるのも当然よ！」

大和田好美は容赦なく言った。

「そうよ、これからお婆ちゃんがもっといい人を見つけてあげるわ。世の中の男性が全員いなくなったわけじゃないのよ！」

お婆様の言葉に、高橋真子は突然どうしていいか分からなくなった。

実は彼も悪くない、ただ彼女のものではなかっただけ。

藤原月が部屋に入るとすぐに、お爺様と藤原直人も続いて入ってきた。

お爺様が先に尋ねた。「明日、離婚するのか？」

「彼女が望んでいることです！」

藤原月は弁明した。

「私も真子ちゃんが離婚を望んでいるように聞こえたが、なぜそんなに急いで離婚したがっているんだ？」

藤原直人は息子に尋ねた。

藤原月はここまで聞くと再び黙り込み、別の方向を見た。

彼のベッドサイドには、母親のおかげで、まだ彼と高橋真子の結婚式の日に撮った写真が置かれていた。加工されていない二人が無理やり一緒に写っている写真は、どこか不釣り合いに見えた。

「どうやらあの子は本当にお前のことを諦める気なんだな！」

藤原直人は息子から返事が得られなくても焦らず、さらに一言付け加えた。

藤原月はようやく苛立ちを見せた。「父さんたちは、それを言いに来たんですか？」

私を悩ませるために？

「いや、そうじゃない。私と爺さんには分からないんだ。詩織がそんなにいいのか？」

藤原直人は再び彼に尋ねた。