藤原月は立ち去った後、小林詩織の主治医を訪ねて、その後一日中会議に出席していた。
退社時間になると、彼は時間通りにオフィスを出て、テレビ局へ向かった。
しかし今日彼を出迎えたのは大森千夏だった。彼女は彼の車を知っていたので、近づいて挨拶をした。「藤原社長は高橋真子に電話されなかったんですか?彼女はスタジオを出たらすぐに帰ってしまいました。」
「ありがとう!」
藤原月は深い声で言うと、すぐに車を走らせた。
道中、彼は高橋真子に電話をかけたが、彼女は出なかった。おばあさんに電話をすると、真子が午後ずっと病院にいたことを知り、おばあさんの話を最後まで聞かずに病院へ急いだが、またしても会えなかった。
「あなた、バカなの?最後まで話を聞かないなんて!」
おばあさんは彼の責めるような態度を見て、先に彼を叱りつけた。