藤原月は高橋真子の手を引き、コートを取って外へ連れ出した。
小林輝は中にいる人を見て、「後でまた来ます!」と言った。
外に出ると、藤原月は高橋真子にコートを渡し、自分に向かってくる男を見ながら、袖をまくり上げた。
高橋真子は彼の優雅な動きを見ていたが、その目には刃物のような冷たさが潜んでいて、思わず胸が震えた。
「月や、小林おじさんを殴るつもりか?」
小林輝は笑いながら尋ねた。
「殴ってなにが悪い?」
藤原月は軽く笑うと、次の瞬間、力強い拳を振り下ろした。
小林輝は全く防ぐ間もなく、横に吹き飛ばされた。
張本佳乃は入り口に立ち、呆然とその光景を見つめていた。
藤原月は小林輝の前に片膝をつき、片手で彼の襟を掴み、もう片方の手で指を突きつけた。「警告しておく。二度とこの女を脅すな。さもないと、ただではすまないぞ!」