第63章 二人きり

藤原月は深い黒瞳で隣の女を見つめた。

高橋真子は胸が震えた。「何かあったの?私に?」

お婆さんと藤原直人も二人を興味深く見つめていた。藤原月が自分の嫁をいじめようとしているように見えたので、高橋真子を助けようとした。

「先に食事をしましょう。食べ終わってから二人で話します」

藤原月はそう言いながら、お手伝いさんに箸を追加してもらった。

——

30分後、二人の寝室で。

高橋真子は端に立ち、両手を背中で壁に軽く当てていた。

藤原月は中に立ち、壁際から動こうとしない彼女を見て苛立ちを覚え、尋ねた。「俺と一緒に寝たことがあるか?」

「……」

「俺が裸でいるところを見たことがあるだろう?」

「上半身だけよ!」

高橋真子は彼が何故過去のことを蒸し返すのか分からず、急いでその時のことを思い出させた。