第100章 彼は尋ねた:辛かったの?

藤原月の背の高い姿が写真館の入り口に立ち、素早く電話を切って車の横に立っている人を見た。

詩織が出てきて彼の側に寄り、柔らかい手で彼の腕を掴んだ。「月、こんなに早く来てくれたのね!」

藤原月は向かいの人を見つめ、しばらくしてようやく淡々と「ああ」と答えた。

「高橋さん、どうぞ」

大和田瑞は高橋真子の横に立ち、案内するジェスチャーをした。

高橋真子はそこで自分も入るべき一人だと思い出し、前に進み始めた。

藤原月は黒い瞳で詩織を見つめた。「ずっと彼女と一緒だったの?」

「そうよ!真子がブライズメイドを引き受けてくれないかと心配で、特別に田中おじさんのところで食事に誘って、長い説得の末やっと承諾してくれたの」

詩織は柔らかい声で彼に話し、高橋家に行ったことには一切触れなかった。