高橋真子は心臓が激しく鼓動していたが、それでも勇気を振り絞って彼に言った。「あなたがそうでないなら、私の同意もなく私をベッドに押し付けたりしないはずよ。それに……」
「それに何?」
藤原月は暗い瞳で目の前の怒った少女を見つめた。本当に彼女を追い詰めてしまったのだろうか?
顔を真っ赤にしながらも、なお頑固に訴えている。
「藤原月、あなたは獣よ。服を着ていても着飾った獣!」
高橋真子は、彼のあの暗い眼差しでじっと見つめられるのにもう耐えられなかった。まるで彼に何の非もないかのように。彼は恥知らずだと言いたかった。
藤原月はそれを聞いて笑い、すぐに真面目な表情になって言った。「着飾ったを取れ!」
「……」
高橋真子は理解できず、瞬きをすると全てがぼんやりとしてきた。
藤原月は薄い唇を彼女の唇に落とし、最初は軽く、二度目は突然強く吸い付いた。
高橋真子は息が詰まり、目が眩んだ。
「目を閉じろ!」
藤原月は命令し、再び深くキスをした。
高橋真子は反射的に目を閉じ、冷たい風の中で二人の冷えていた唇が徐々に温かくなっていくのを感じた。そして我に返り、抵抗し始めた。
藤原月は彼女の両手を掴んで自分を抱かせ、そのままキスを続けた。
コンビニの店員が窓から外を見て、若いカップルがキスをしているのだと思った。
しかし実際は違った!
高橋真子は彼を強く噛んだ!
藤原月は笑い、彼女の額に自分の額を押し付けながら、優しい声で言った。「油断したな!」
「……」
高橋真子は心臓が一拍抜け、彼が彼女の額にキスをした時、もう彼を押しのけることはできなかった。
なぜなら彼が言ったから。「ドリアンを買って、それから家に帰ろう。」
高橋真子は結局彼に手を引かれてコンビニに入った。藤原月は一番大きくて良いドリアンを選び、彼女に尋ねた。「奥様、これでどうですか?」
奥様?
高橋真子は頬を赤らめた。「何を言ってるの?」
藤原月は彼女が喜ぼうが喜ばまいが、ただ商品を手に取るだけだった。
店員が計量して包装し、藤原月が支払いを済ませた。
高橋真子は横に立って見ていた。何年も経った後で、また彼が買ってくれたものを食べられるとは思ってもみなかった。
それも真夜中に!
二人が彼女の小さなアパートに戻ると、藤原月は再びシャワーを浴び、出てきてドリアンを開けた。