第116章 独占欲

「月……」

「切れた!彼女は怒ってる!」

藤原月はそう言うと、携帯を投げ捨て、再び彼女の柔らかい体の上に這い上がった。

「何でも君の言う通りにするから、僕を受け入れてくれないか?」

藤原月は彼女にキスしながら、誘惑するように囁いた。

高橋真子の胸は重く、まるで8月の蒸し暑い大雨の前のような感覚だった。

何でも言う通りにするとはどういう意味?

ただ一つの肉体のために?

「何でも私の言う通りにするって、離婚のことも?」

高橋真子は弱々しく尋ねた。

彼の手の力が少し強くなり、高橋真子は痛みで腰を浮かせた。

「それ以外だ」

藤原月は彼女の首筋にキスしながら、低い声で答えた。

「それ以外?あなたの命?それとも資産?」

「それら全部君にあげられる」

君さえ僕のものになってくれれば!

彼は突然、須藤陽太が佐藤正臣に言ったことは正しかったと思った。まず彼女を抱くべきだったんだ。

あるいは女性は本当に、まず関係を持ってから男性に感情が芽生えるのかもしれない。

高橋真子は心の中で思った。彼は一時の快楽のために嘘をついている。

少しも信用できない。

「僕の子供も含めてだ!」

藤原月は彼女の耳を噛みながら、断固とした口調で言った。

高橋真子は突然悟ったように、真っ赤な顔で彼に向き合った:「藤原月、こんなことやめてくれない?」

彼女の声は落ち着いていたが、特に心に響くものだった。

「詩織の子供が僕のものだと思って嫉妬してるんじゃないのか?祖父母を使って僕を脅すまでして、ね?」

藤原月は彼女の肌を吸いながら、低く囁いた。

高橋真子は信じられない思いだった。いつ嫉妬したというの?

いつ祖父母を使って彼を脅したというの?

ただ離婚したいだけなのに。

ただこれが適切なタイミングだと思っただけなのに。

「彼女が子供を産んでから認めるつもり?藤原月、ちゃんと話し合わない?こんなことやめて?」

すぐに彼女の体の上で動き回るなんて。

彼女を感情のない機械だと思っているの?

上にいる男性は彼女が人生で唯一愛した男性なのに!

上にいる男性は彼女が唯一感じる、そして求める男性なのに!