「離せ!」
藤原月は低い声で命じた。
「離さない、藤原月、あなた...んん...」
唇の傷が引っ張られ、思わず痛みで呻いた。
藤原月のキスは、その呻き声でさらに激しくなり、先ほどの優しい吸い方は彼のものではないかのようだった。
高橋真子は思わず彼のシャツをぎゅっと掴み、やっと彼のキスが首筋に移った時に、唇の痛みから立ち直れた。
一瞬、藤原月は諦めて、痛めつけてやろうかとさえ思った。
しかし、すぐに彼女の可愛らしい呻き声に心が柔らかくなり、彼女の額に額を寄せて息を整えるしかなかった。
しばらくして、やっと体内の血の昂ぶりを抑え、かすれた声で尋ねた:「なぜ少しの信頼も与えてくれないんだ?ほんの少しでもダメなのか?」
高橋真子は痛みを堪えて唇を噛み締め、よだれが出そうになった。