「言い訳できないの?生理という言い訳がバレて、他に思いつかないってこと?」
藤原月は軽く笑いながら、彼女のズボンのボタンを外した。
高橋真子は緊張して彼の逞しい手を掴んだ。「お、お腹が痛いの」
藤原月は笑って言った。「へぇ?そんな言い訳まで考えついたの?僕は医者じゃないけどね」
「本当に痛いの。もう何日も続いてて、胃腸の調子が悪いのかも」
高橋真子は彼の手を掴んだまま、涙を浮かべた。
藤原月はようやく彼女をまじまじと見つめ、彼女の横に寝転がり、優しく下腹部に手を当てた。「どこが痛いの?教えて」
高橋真子は彼の温かい手のひらが下腹部を押さえているのを感じ、大きく震えた。
彼は今自分が触れているものが何なのか、きっと分かっていないのだろう。
高橋真子は胃腸が痛む感覚を知っていた。以前何度も経験したことがあったので、彼の手を押さえながら言った。「ここよ」
藤原月は彼女の苦しそうな表情を見て、思わず心配になった。腸炎かもしれないし、もっと深刻な病気かもしれない?
突然、彼女の母親の死因を思い出し、最近の彼女の憔悴ぶりや、食欲不振、吐き気を思い出して、すぐに起き上がった。「病院に行こう」
「病院?」
高橋真子は驚いて、慌てて服を着る彼を見上げたが、首の痛みで再び横になった。しかし心臓が激しく鼓動した。
こんな夜中に病院に行って何になる?
「そう!検査を受けよう。家のかかりつけ医に電話して、すぐに手配してもらう」
「こんな夜中に何の検査よ?ただの胃腸炎だから、薬を飲めば治るわ」
高橋真子は仕方なく起き上がり、彼がスーツを探しているのを見て、眉をしかめた。胃腸の具合が悪いなんて言わなければよかった。
「藤原月、私、もう大丈夫」
もう彼を騙し続けることはできない。
病院に行けば、全てバレてしまう。
他の方法を考えた方がいい。
藤原月は服を取る動作を止め、振り返って彼女を見た。「大丈夫?」
高橋真子は恥ずかしそうに目を伏せ、頷いた。「うん!」
藤原月は再びベッドに戻り、問いただした。「一体どうしたんだ?」
「したくないの!」
「……」
藤原月はクローゼットの扉を閉め、怒ってベッドの端に立ち、両手を腰に当てて彼女を見つめた。
最初から演技だと分かっていたはずだった。
ただ彼とそういうことをしたくないだけなのだ。