第6章

藤田美咲は高橋誠一の婚約者という立場を利用して、しばらく懇願した末、ようやく彼に会えることになった。

彼女は急いで高橋家の私立病院に駆けつけ、幾重もの警備を通り抜けて、私の病室にたどり着いた。

医者が私の怪我の治療をしている最中、兄は彼女を入り口で止めた。

「何しに来たんだ！もう話すことなんて何もないだろう？」

「あの子は...本当にあなたの妹なの？」

「誰であろうと関係ない。お前のような畜生のすることじゃない」

「ごめんなさい！誠一、私...私は彼女があなたの妹だなんて知らなかったの。ただあなたのことが大好きで、誤解してしまっただけ。いいえ、私の友達たちが私を誤解させたの！私は無実よ！」

藤田美咲は状況に応じて態度を変えられる人間で、兄の強い態度を見るや否や、すぐに土下座して謝罪した。