第10章

高橋勇人は警察官だった。

ずっとそうだった。

3年前、彼は違法行為で公職を解任され、半年間刑務所に入れられた。それは彼が堕落したからではなく、極秘の潜入捜査任務を遂行していたからだ。

まるで映画『インファナル・アフェア』の梁朝偉や『メコン川作戦』の彭于晏のように。

当時、国内の多くの大学でキャンパスローンが横行していた。

多くの大学生、特に女子大生が裸ローンを借りて自殺に追い込まれていた。

しかし、これらの犯罪の真の黒幕はインターネットの深部に潜んでおり、一網打尽にするのは難しかった。

そこで警察は、キャンパスローンを根絶するための作戦計画を立てた。

高橋勇人は駒として選ばれ、キャンパスローン組織に潜入することになった。

作戦は極秘で、家族や恋人を含め誰にも告げることはできなかった。