第7章

車は事務所ビルの入り口に停まり、エレベーターに間に合わず、次を待つしかなかった。

滅多に来ないが、会社の誰もが私の身分を知っていて、スムーズに通れ、邪魔されることはなかった。

社長室の前まで追いかけて来て、私は足を止めた。重い心がこのドアを開けるのを恐れさせた。

「パパはまだ会議中だから、真一ちゃんは先に宿題をしましょうか?」

「うん。」

半透明のガラスドアの向こうで、大人と子供が仲良く宿題を教え合っていた。

ドアを開けようとした瞬間、温井優花が顔を上げ、数秒間目が合った後、彼女が口を開いた。

「真一ちゃん、おばさんが聞いたところによると、パパとママが離婚するそうね。もしママと一緒に行っちゃったら、おばさんは真一ちゃんに会えなくなっちゃうの。残念ね?」

「ママなんかと行きたくない。パパと一緒がいい。パパの側にいれば、温井おばさんがママみたいに僕の面倒を見てくれるでしょう?」