第4章

松本勇樹の会社の向かいにあるカフェで、私は窓際に座り、朝の日差しを浴びていた。

大きな窓ガラス越しに、松本勇樹の会社が既に大混乱に陥っているのがはっきりと見えた。

私は思わず口角が上がった。

私の出番が来たようだ。

……

会社の玄関に足を踏み入れた時、全員が驚きの表情で私を見つめた。

「あの人、田中社長の家政婦じゃない?なんで会社に来たの?」

「この家政婦、急にこんなに良い服装になったわね。全部ブランド物じゃない?どうなってるの?」

周りの人々のひそひそ話を聞いて、私は突然足を止めた。

「家政婦?普段からそう紹介してたの?」

そのひそひそ話をしていた人たちは顔を背け、自分の仕事に戻った。

松本勇樹はガラス窓越しに私を見つけ、慌てて社長室のドアを開け、大股で私の方へ向かってきた。