32歳の柳田千夏は、まだ一度も職場に足を踏み入れたことがありませんでした。
以前は家庭環境が良く、勉強と遊びに専念するだけでよかったし、その後松本勇樹と一緒になってからも、起業時代が最も苦しい時期でさえ、彼は私に仕事をさせませんでした。
私は大切に育てられすぎて、それが良くもあり、悪くもありました。
冷却期間のその一ヶ月間、私は毎日自分に何ができるのかと問い詰めていました。
迷える私には、社会から取り残されたような悲しみがありました。
その後、偶然に公園で児童養護施設の子供たちの遠足に出会いました。
私にはまだお金があると思いました。
過去には自分の子供をうまく育てられなかったけれど、これからは、わずかな力でも慈善活動をして、人々を助けることができるかもしれません。