第10章

木村文雄は極めて恐ろしい夢を見た。

夢の中で藤原昭子は生き返り、前世の記憶を全て持っていた。

夢の中で彼の望むものは何一つ手に入らず、むしろ祖国の南西部へ売られてしまった。

そこにいる人々は人間ではなく、畜生であり、豚であり、物品だった。

人間だけにはなれなかった。

自分がどれほど絶望していたか、はっきりと覚えている。

生まれて初めて、彼は自分の端正な顔を恨んだ。

夢の中で自分がどのように死んだのかさえ覚えていない。

ただ果てしない苦痛と苦しみだけを覚えている。

生きるのも死ぬのも叶わない。

「あなた、どうしたの?」

隣で若い妻が彼の声で目を覚まし、朦朧とした目で慰めた。

「何でもない、悪夢を見ただけだ。」

ただの夢に過ぎない。

木村文雄は自分に言い聞かせた。

しかしすぐに、この件がそれほど単純ではないことに気付いた。