第18章

化粧室のドアが激しく叩かれた。

池田勇人の慌てた目が揺れるドアからウェディングドレスに焦点を合わせた。

それは私が自らデザインしたアレンジウェディングドレスだった。

彼は刺されたかのように、体を揺らし、手に持っていたナイフをカーペットに落とし、腕はまだ先ほどの姿勢のままだった。

「とても綺麗だよ！」

「ごめんなさい、あの時嘘をついたのは、あなたを失うのが怖かったから！」

「美咲、もし鈴木誠がいなかったら、私たちにまだチャンスはあるかな？」

私は一瞬黙り、深く息を吸い、軽く目を閉じた。

「今でなくても、一年後、五年後、十年後、私たちはきっと別れていたわ。」

ドアが壊され、鈴木誠と警察が駆け込んできた。

警察に拘束され、埃一つない姿見に池田勇人の惨めな姿が映っていた。