高橋知明は泣き叫びながら渡辺佳奈に会いに行きたがった。
私は約束を守り、家のボディーガードに彼を見張らせた。
でも、私を見張る人はいなかった。
ボディーガードに私を見張らせて渡辺佳奈に会いに行くのを止めさせるようなことはできなかった。
自分で自分を見張るしかなかった。
そのために、よく自分を酔いつぶすまで飲まなければならなかった。
必ず意識を失うほど酔いつぶれるまで。
そうしないと、少しでも力が残っていれば、本能的に彼女を探しに行ってしまうから。
渡辺佳奈の言う通り、誰も誰かがいなくても生きていける。
私は生ける屍のように生きているけれど。
高橋知明は十七歳になった。
もう私には止められなくなった。
下校時にこっそり逃げ出した。
半人前の子供、十歳からもう泣かなくなった子供。