蛮族は残虐で、生産活動をせず、ひたすら大和の国境を荒らし回っていた。
今回、三皇子が蛮族を撃退しに行くことは、きっと無事に済むと私は確信していた。
さらに、彼は今や評判も良く、帰還すれば必ず盛大な凱旋となるはずだ。
しかし心の中には、まだ焦りと不安が残っていた。
翌日の朝早く、柳田雪乃が私を訪ねてきた。
私は彼女を見つめ、急いで彼女の手を握った。
「最近、皇太子様からの手紙が来ないけど、雪乃ちゃん、聞いてきてくれない?」
柳田雪乃は私を慰めながら、自分の目的を話し始めた。
「和子、三皇子様が辺境で軍功を立てようとしているけど、皇太子様はどうすればいいの?」
私は心の中で冷笑しながら、表面上は大変驚いた様子を見せ、まるで今初めて三皇子が辺境に向かったことを知ったかのように振る舞った。
前世では、三皇子が蛮族を撃退して無事に帰還する途中、突然死んでしまった。
その時、藤原修はすでに皇后の養子となり、桜井氏の支持を得ていた。
三皇子が死んだのは、原作で主人公の帰京の様子が描かれていたからだ。
私はそこに刺客を配置し、三皇子を崖から突き落として、遺体も見つからないようにした。
その後、今上陛下は丹藥調合に没頭し、自ら命を縮めてしまった。
だから藤原修が即位し、私は彼を助けて桜井氏を排除し、彼は龍椅を安定させることができたのだ!
私は笑みを浮かべ、唇から軽蔑の色を漏らした。
悪役は所詮悪役、下劣な手段しか知らないのだ!
「皇太子様が桜井氏の支持さえ得られれば、三皇子様が凱旋しても及ばないわ。」
「やはり皇太子様は陛下の嫡長子で、陛下の次に尊い方なのだから。」
柳田雪乃は大きく頷き、この言葉を藤原修に伝えることを約束した。
私は頷き、とても感謝している様子を見せた。