第41章 自分への誕生日プレゼント

野村香織がお風呂から出たところで、斎藤雪子から電話がかかってきた。「野村社長、ブルーライトメディアの青木社長が、光文堂からの説明を求めています」

野村香織は冷たく言った。「光文堂の者から青木翔に直接伝えなさい。最大の投資家が拒否権を行使したと。それ以外の説明は必要ないわ」

電話を切ると、体が少し冷えてきたので、急いでまたお風呂に戻って温まった。

……

翌朝。

「ご主人様、お誕生日おめでとうございます!」起きたばかりの時、甘い声が響いた。

野村香織は軽く微笑んだ。小小に言われなければ、今日が自分の誕生日だということをすっかり忘れるところだった。そして、渡辺大輔という地獄から逃げ出して百二十日目でもある。きちんとお祝いしなければならない。

この二回の海外旅行で気分転換してから、旅行が大好きになった。若くして経済的自由を手に入れるのは本当に素晴らしい。世界はこんなにも広く、名所旧跡がたくさんある。恋愛や結婚に縛られる必要なんてない。今考えると、以前結婚に多くの心思と時間と労力を費やしていたなんて、まさに病気だったとしか思えない!

自分らしい誕生日を過ごすため、半月前に最新型のヨットを誕生日プレゼントとして注文していた。今、ヨットは港に停泊しており、これから検品に行くつもりだった。

……

愚人埠頭。

「くそっ、今日は暦を見ずに出てきてしまった」遠くに立っている渡辺奈美子と関口美子を見て、野村香織は思わず悪態をついた。

人生初のヨットを迎えるため、今日は特別に淡いブルーのロングドレスを着ていた。埠頭の海風がドレスの裾を揺らし、ワインレッドの大きなウェーブヘアが風に揺れ、完璧な美貌を際立たせていた。

海と空の色と一体となった野村香織を見て、渡辺奈美子も思わず見とれてしまった。どれほど野村香織が嫌いで、見下していても、彼女の容姿が最高級であることは認めざるを得なかった!

「ふん、わざわざ私に謝りに来たのかしら?」野村香織がこちらに向かって歩いてくるのを見て、渡辺奈美子は心の中で冷笑した。

彼女から見れば、野村香織は許しを乞いに来たのだろう。結局、渡辺大輔との離婚前に他の男性と密会していた写真を流出させたのは、彼女が手配した人間なのだから。