今夜は年越しであり、柴田貴史が小村明音にプロポーズして成功した夜でもあった。会場の雰囲気は和やかで、全員が楽しく盛り上がっていた。お酒を飲む人、おしゃべりする人、歌を歌う人、それぞれが思い思いに楽しんでいた。
午前1時まで宴は続き、野村香織もかなりお酒を飲んでいた。彼女は酒に強い方だったが、少し酔っぱらっていた。
小林輝明が自ら護衛を買って出たが、彼女は代行運転を頼んでいることを理由に断った。そのため、小林輝明は残念そうな顔で彼女を見送るしかなかった。
……
車内で、野村香織はしゃっくりをし、コートを体にぐっと巻き付けて、そっと車のドアに寄りかかった。窓越しに、通りにはまだ多くのカップルが歩いているのが見え、若者は本当に寒さに強いものだと感心した。
まだ雪は降っていなかったが、今は冬で、しかも午前1時過ぎ。外気温は一桁になっていた。この気温では散歩どころか、息を吐くだけでも心まで冷えるような寒さだった。