青木翔はすぐにテーブルに戻らず、一階のリビングに行って渡辺大輔に電話をかけた。すでに泥沼に足を踏み入れたのなら、最後まで突っ走るしかない。
彼を落胆させたのは、友人のために心配して電話をかけたのに、その友人は彼の好意を無視してしまったことだった。三回電話をかけたが、渡辺大輔に三回とも断固として切られてしまった。
苦笑いしながら首を振り、渡辺大輔が電話に出ないなら、メッセージで状況を伝えるしかない。あとは彼がどうするかは、もう自分には関係ないことだ。
しばらくして、青木翔は最後にテーブルに戻った。想像していたような荒れた雰囲気ではなかったことに、心の中でほっと胸をなでおろし、このままずっと続くことを密かに祈った。
しかし、マーフィーの法則が発動した。青木翔が恐れていたことが起こり、しかも彼自身が食卓の導火線となってしまった。