第170章 私は一生暇がない

相田珠美の言葉を聞いて、天満奈津子は嬉しそうに頷いた。ようやく自分の味方が現れたのだ。彼女は野村香織の言葉を全く信じていなかったし、父親が1000万円で買った回転心瓶が贋物だとは到底信じられなかった。

母娘が話をしている最中、一人の男が入ってきて、用件を説明した後、破片となった回転心瓶を袋に入れて鑑定に持って行った。天満春生が手配した人間なので、母娘は特に気にすることもなかった。

10分も経たないうちに、斎藤雪子はこの情報を入手し、会議の休憩時間を利用して、天満春生が再鑑定を依頼したことを野村香織に伝えた。

野村香織は冷笑した。「天満家の方々にも賢い人がいるようね。もっと長く待たされると思っていたわ」

斎藤雪子は「はい、彼らがこのような行動を取るとは意外でした。天満家の方々らしくないですね」と言った。

野村香織は軽く首を振り、こんなごたごたを頭から追い払った。天満家が鑑定するかどうかは、彼女には全く関係のないことだし、気にもしていなかった。

「そうそう、このような鑑定にどのくらい時間がかかるか、誰かに聞いてみて」しばらく考えてから、野村香織は指示を出した。

「ああ、それなら以前調べたことがあります。完全な状態の骨董品と比べて、このような破損品の方が逆に鑑定しやすく、より正確な結果が出せます。現在の技術水準では、おそらく最大でも3時間程度で鑑定報告書が出ると思います」と斎藤雪子は答えた。

野村香織は驚いて「そんなに早いの?まあいいわ、この件は誰かに見張らせて、結果が出たらすぐに私に知らせて」

彼女もその回転心瓶が本物か偽物か確かめたかった。確信はあったものの、専門家ではないし、直接的な証拠もないため、権威ある機関の鑑定結果に頼るしかなかった。

斎藤雪子は頷いて「はい、野村社長。結果が出次第すぐにお知らせします」

少し考えてから、野村香織は「それよりも、エフジェーテクノロジーの件の方が重要よ。先日、竹島晴翔との会食の際に3ヶ月の期限を与えたから、この期間、あちらの様子をよく観察してちょうだい」と付け加えた。

斎藤雪子は「ご安心ください、野村社長。私はずっとエフジェーの件を注視しています。まさか彼らがあんなことをするとは思いもよりませんでした。本当に腹立たしいです」と言った。