第199章 彼女の態度が私の態度だ

三人の警察官は相談し、身分を抜きにしても、野村香織は今ビデオの証拠を持っており、もし渡辺家の母娘を脅迫、威嚇、社会秩序を乱した罪で告発するなら、罪状は成立すると判断した。

「こうしましょう。この二人の女性に署まで同行していただき、詳しい状況をそこで話し合いましょう」と一人の警察官が渡辺家の母娘に向かって言った。

「いえ、いえ、何もないのに警察署に行く必要はありません。彼女の言うようなことではないんです。私たちは彼女を脅したり、暴力を振るったりしていません。ただ個人的に話し合いたかっただけです」と二見碧子は慌てて言った。

「もういい加減にしなさい。さっさと署まで来てください。ここでごねるのはやめなさい。自分たちが何をしたか分かっているでしょう?人の玄関を塞いで入れさせず、車のドアを蹴り、わざと当たって足を引きずるなんて、これが示談の取り方ですか?」と別の警察官が叱責した。

二見碧子と渡辺奈美子は急に萎縮し、警察官の言葉に反論できず、顔面蒼白となった。

また警察のお世話になると思うと、渡辺奈美子は怖くて涙を流した。「信じてください。私たちには他意はありません。ただ示談で解決したかっただけなんです。でも彼女が車の中に閉じこもって出てこないし、示談に応じてくれないから、仕方なく体で車を止めようとしただけです」

彼女の強弁を聞いて、三人の警察官は呆れて笑ってしまった。今まで黙っていた警察官が言った。「それはおかしな論理ですよ。あなたの家族が飲酒運転で彼女の車に追突したんです。この件は完全にあなたの家族の責任です。飲酒運転だけでも15日以上の拘留は免れません。しかも事故後の逃走まであったんですよ。これだけでもあなたの親族がどういう人物かが分かります。それに、野村さんが示談を拒否するのは何の問題もありません。示談は双方の合意があって初めて成立するものです。このように押しかけて騒ぐのは、あなたたちが間違っているということです。誰があなたたちに示談を強要する権利を与えたんですか?」

三人の警察官が野村香織の味方をし、母娘を批判的に諭したのを見て、二見碧子と渡辺奈美子は頭を垂れ、表情は最悪となった。

そのとき、黒い長尺のロールスロイスが遠くから近づいてきて、パトカーの後ろにゆっくりと停車した。野村香織がバックミラーを見ると、渡辺大輔が車から出てくるところだった。