第248章 新年おめでとう

小林お爺さんは突然めまいを感じ、思わずよろめいてしまった。年を取り、体力も衰え、さらに二年前から心臓病を患っていたため、今日のような厳しい状況に直面するとは思わなかった。この不快な感覚に耐えられない様子だった。

……

市の中心部の大通りにて。

小林家を出たのは午前三時過ぎだった。あと数時間で夜が明ける時間帯で、夜更かし派の人々もすでに就寝している頃合いだった。そのため、大通りは非常に閑散としており、街全体が静寂に包まれていた。

助手席に座った野村香織は表情を取り戻し、小林家で鬱憤を晴らしたことで、ようやく冷静さを取り戻した。運転中の渡辺大輔を見ながら尋ねた。「さっき私が小林家で騒ぎを起こした時、なぜ止めなかったの?」

渡辺大輔は彼女を見ることもなく答えた。「君は怒りを晴らしに行ったんだ。なぜ止める必要があるんだ?」