第298章 黒幕

鈴木珠希の罵り方があまりにもひどく、田中警部も聞くに堪えられなかった。彼は机を叩いて叱責した。「鈴木珠希、静かにしなさい!ここは警察署の取調室だ。あなたの実家の暖かい炬燵じゃない。今日なぜあなたが逮捕されたのか、自分でよくわかっているはずだ。正直に話しなさい。野村さんの金のブレスレットを誰に売ったのか、現金はいくら使ったのか、残りはどこにあるのか?」

そう言って、田中警部は机の上のお茶を一口飲み、鈴木珠希を威厳のある声で見つめながら言った。「強盗罪は最低でも3年、案件の金額によって量刑も変わってくる。あなたたちのような場合、死刑にならなくても無期懲役だ。あなたは高齢だから刑が軽くなる可能性はあるが、小野義徳はまだ若いことを忘れないでください。もし認めずに正直に話さなければ、共犯者として彼は少なくとも20年ほどの刑を受けることになる。結局、あなたたちが野村さんから3億円を奪ったのは事実なのだから。」

この言葉を聞いて、鈴木珠希はようやく恐れを感じ始めた。それまでは野村香織と田中警部の言葉をあまり気にしていなかった。結局、70歳を超えている彼女にとって、刑務所は無料の食事場所のようなものだった。

しかし、この件は小野義徳に関わっていた。彼は彼女の大切な息子だ。この世界で何を失っても構わないが、息子だけは失うわけにはいかなかった。

鈴木珠希は激怒した表情で言った。「なんだよ、そのバッグが90万円の価値があるなんて。警察官のあなたたちまでそんなことを信じているなんて。それに、そのブレスレットだって、たいしたものには見えなかった。でも、現金は全部ATMで息子の嫁の口座に振り込んだわ。」

彼女は怒っていたが、すべて本当のことを話していた。70歳を超えているとはいえ、ほぼ一生を田舎で過ごし、たまに街に出ても買い物程度だった。高級ブランドバッグや貴金属には全く関心がなく、そのため彼女の見識は非常に浅かった。

実際、彼女は強がっているだけだった。そのブレスレットが30万円以上の価値があると知って大きなショックを受けていた。重さはそれほどでもなかったが、国際的な一流ブランドの製品だったのだ。

彼女の言葉を聞いて、田中警部は冷たい声で言った。「現金は息子の嫁に渡したんだな。じゃあ、ブレスレットはどこにある?」