第311章 自業自得

証拠の山を目の前にして、それまで怒りに満ちていた関口勇の表情から怒気が消え失せ、顔色が青ざめたり赤らんだりと変化し、何か言おうとしても口をパクパクさせるばかりで、言葉が出てこない様子は実に気まずそうだった。

彼とは対照的に、野村香織は少しも気まずさを感じておらず、むしろ関口勇の表情の変化を楽しんでいるようだった。関口勇が全ての書類を茶封筒に戻すまで待って、彼女はようやく口を開いた。「関口社長、あなたが持っているのは予備のコピーです。全ての原本は私が持っています。今でも私と食事をするのは時間の無駄だとお考えですか?」

彼女の皮肉な言葉を聞いて、関口勇は内心で怒りに燃えていた。隣に座っている渡辺大輔を一瞥すると、今日彼がいなければ、こんなに簡単には引き下がらなかっただろう。おそらく野村香織に「これだけで私に勝てると思っているのか?」と反問していただろう。

しかし、今日の会食は渡辺大輔が設定したものだ。だから渡辺大輔の面子は立てなければならないし、立てざるを得ない。そして明らかに渡辺大輔は野村香織の味方をしている。

得意げな表情を浮かべる野村香織を見ながら、関口勇は心の中の憎しみを抑えて言った。「野村社長、それはあなたの一方的な言い分です。あなたの話を聞いただけで何かを決めるわけにはいきません。ただ、ご安心ください。この件について確認させます。事実であれば、必ず美子にあなたに謝罪させます。」

彼の言葉を聞いて、野村香織はティーポットを取り上げ、自分にお茶を注ぎながら言った。「関口社長、私たちは大人なのですから、そんな子供じみた話はやめましょう。軽い謝罪で済むのなら、警察は何のために存在するのでしょうか?それとも、あなたの大切なお嬢様が私に謝れば、私が必ず許さなければならないとでも?」

野村香織がまだ話を終えていないのを見て、関口勇は目を見開いて言った。「そこまで言うなら、はっきりさせましょう。私は...」

本来ならもっと強い言葉を続けるつもりだったが、隣で渡辺大輔が軽く咳払いをしたのを聞いて、後の言葉を全て飲み込んだ。その咳払いは小さかったものの、彼の背筋が凍るほどの威圧感があった。