第339章 誕生日パーティーに参加する

困ったことに、野村香織が車で半分ほど走ったところで、空が曇り始め、すでに暗くなっていた空から小雨が降り出した。

ローズガーデン、川井若菜の誕生日パーティーの会場は、川井遥香の所有する不動産だった。まだ敷地の入り口に着く前に、野村香織は前方に多くの車が停まっているのを見て、自分も車を路肩に停めた。この時、外の雨は強くなり始めていた。野村香織は窓を上げて外を一瞥した後、助手席の収納ボックスから上品な傘を取り出した。河東の気まぐれな天気を知っていたので、彼女はいつも車に傘を置いていた。まさにこういう時のためだった。

ドアを開けて傘を差しながら車を降りる野村香織の動作は一連の流れるような動きだった。車のドアを閉めた瞬間、青木翔のいやらしい声が聞こえてきた。「野村さん？」

野村香織は青木翔を振り返って一瞥し、淡々と笑って言った。「青木若旦那、お久しぶりですね。」

前回のゴルフ場以来、彼らは一ヶ月以上会っていなかった。今思えば、時間が本当に早く過ぎたものだ。青木翔は今日カジュアルな格好で、ブラウンのレザージャケットに白いTシャツ、下は濃い色のジーンズを履いており、まるで大学生のような姿だった。

そう言うと、野村香織は傘を差したまま屋敷の方へ歩き始めた。川井若菜の誕生日パーティーだから、渡辺大輔や青木翔たちに会うことは分かっていた。だから彼女は少しも驚かず、心の準備もできていた。彼らを全員見知らぬ人として扱えばいい、せいぜい挨拶を交わす程度でいい。

野村香織が待ってくれないのを見て、青木翔は口を開きかけたが、なかなか言葉が出てこなかった。前回の件を野村香織がまだ忘れていないことも、彼女が彼らと関わりたくないことも分かっていたので、大人しく口を閉じるしかなかった。

屋敷の入り口で招待状を見せ、大きな庭園を通り抜けると、野村香織はついに一軒の別荘の前に到着した。まだ別荘に入る前から、笑い声や騒ぎ声が聞こえてきた。彼女は特に気にせず、人が多くて賑やかなのだろうと思い、傘を入り口の空きスペースに置いて、ピンク色の袋を持って中に入った。

別荘の中には二十数人がいて、大半は川井若菜と同年代の人たちだった。見覚えのある顔もあれば、初めて見る人もいた。彼女が入ってくるのを見て、川井若菜は急いで迎えに来た。「お姉様、やっと来てくれました。」