第416章 大団円

今日の誕生祝いでは、田中お爺さんが主役だったが、野村香織と渡辺大輔は主役の座を奪いたくなかった。しかし、渡辺の母親である二見碧子は、渡辺秀雄と渡辺奈美子を連れて警備員の制止を振り切って宴会場に突入し、騒動を引き起こした。

彼らが来たのを見て、野村香織と渡辺大輔は目を合わせ、お互いの目に意外な色を見た。二見碧子は入ってくるなり、野村香織の前に駆け寄った。今や二見碧子は大幅に痩せていた。渡辺大輔は冷たい声で言った。「何しに来たんだ?」

この言葉を聞いて、渡辺の母親は胸が痛んだ。これだけの人前で、大輔は母とも呼んでくれない。二見碧子は言った。「大輔、今日は弟と妹を連れて、わざわざ野村香織に謝りに来たの」

言葉が終わらないうちに、彼女は野村香織に向かって深々と頭を下げた。後ろに立っていた渡辺秀雄と渡辺奈美子も次々と頭を下げて謝った。「野村香織さん、申し訳ありませんでした。許してください!」

野村香織は素早く反応し、二見碧子が頭を下げた瞬間に避けた。二見碧子は常に彼女をいじめ圧迫してきたが、それでも渡辺大輔の実母であり、若い世代が年長者に頭を下げさせるわけにはいかない。しかし、謝罪は受け入れられる。

渡辺大輔は野村香織を見て言った。「君の意思を尊重する」

野村香織は軽く笑って言った。「彼らが私にどうしたかは重要じゃない。大切なのはあなたよ」

渡辺大輔は頷き、視線を二見碧子三人に向けた。「もういい、皆立ちなさい。皆が公の場で野村香織に謝罪したんだから、過去のことは水に流そう。これからは野村香織を尊重しなければならない。彼女はまもなく渡辺家に再び嫁いでくるんだから」

……

三ヶ月後、渡辺大輔の強い意志により、彼らは再び結婚式を挙げた。今回、野村香織は全ての人からの祝福を受けた。全てが急激に変化したが、人々も受け入れられないわけではなかった。特筆すべきは、小村明音と柴田貴史が交際を公表し、ネット上で大きな話題を呼んだことだ。

新婚旅行の三日目、野村香織は自分の誕生日を迎えた。渡辺大輔が誕生日プレゼントを用意していなければ、野村香織自身も忘れるところだった。

しかし、渡辺大輔が用意した誕生日プレゼントは、彼女に驚きと意外な気持ちを与えた。手の中の古い写真を見ながら、野村香織は眉を上げて言った。「この女性が当時、私の母を連れ去ったの?」