時には、面倒事は探さなくても、自分からやってくるものだ。
加藤蓮が学校に私を訪ねてきた。
これは全く理解できない出来事だった。
先生は私を会議室に呼び、加藤蓮に対してはもう恭しさの極みで、見ていて目が痛くなるほどだった。
加藤蓮はさらりと言った。「先生、南野星と二人で話がしたいのですが。」
先生は慌てて「はい、もちろん。南野さん、加藤社長が何か聞きたいことがあれば、包み隠さず答えるように、いいですね?」
私は頷いたが、心の中では、これはまるで遊郭で一番の花魁を指名するような態度だ、先生は女衒のようだと思った。
私は冷笑し、この瞬間からこの先生に対する印象はマイナスに転じた。
加藤蓮は私を見つめ、私も平然と彼を見返した。
加藤蓮は少し憔悴していて、目の下には隈ができていた。加藤蒼のことで相当心配しているのだろう。