麦田絵麻の取調室の前には、スーツを着た中年の男性が立っていた。手には書類カバンを持ち、その表情は何とも言えないものだった。
根岸隊長は彼に頷いて、取調室のドアを開けた。
私は彼の後について入った。
「あなたたちは捕まえたいときに捕まえて、解放したいときに解放するの?何を考えているの?ここに入って国章を見なかったら、私は昭和時代にタイムスリップして、自民党の統治下にいるのかと思ったわ!あなたたちは警察なの?あなたたちは賄賂を受け取って悪事を働く偽物の軍隊、走狗よ!」
姫様は一つも下品な言葉を使わずに一気に罵り、周りの人など気にしていなかった。
傍に立っていた警察官たちは壁の隅まで下がりそうになっていた。
「南野星!」麦田絵麻は振り向いて私を見ると、すぐに飛びついてきて、私を抱きしめた。