尋問室に座って、周りの環境を見回した。
こんな経験は誰もができるわけではない。
良き市民なら、一生警察の尋問室に入る機会はないだろう?
ここはテレビドラマで見るのとほぼ同じだが、匂いが少し不快で、何が混ざった匂いなのか言い表せない。椅子も少し不快だ。
椅子の背もたれに寄りかかって大きく欠伸をした。今はもう真夜中だろうか?普段なら私と麦田絵麻はもう寝ている時間だ。
麦田絵麻のことを思うと、この警察官たちが気の毒になる。
今回彼らは「呼ぶは易く去らしむるは難し」という言葉の意味を理解するだろう。
加藤律はすぐに麦田絵麻の家族に連絡するはずだ。
私は今、誰が警察官にこんな大きな罠を仕掛けたのか、警察官たちと一体どんな恨みがあるのか知りたい。私は私に嫌がらせをした警察官だけを標的にしている。他の人は関係ない。でも今日ここにいる全員が巻き込まれて、誰も警察界で生き残れなくなるだろう。