ドライヤーが優しくブンブンと音を立て、温かい風が私の髪に吹きかかり、私を包み込み、眠気を誘う。
この時、私の頭の中は真っ白で、何も考えたくない、ただ疲れ、思い切り泣いた後の果てしない疲労感だけがある。
ドライヤーが止まり、私の髪が優しく梳かれている。
「律」と私は小さく呟いた。
「うん」と彼は答えた。
「ここから離れられないかな?」と私は尋ねた。
「南野星はどこに行きたいの?」彼の指が私の髪に差し込まれ、頭皮を優しく撫でる。
「どこでもいい、ただここから離れたい」私も自分がどこに行きたいのか分からない。
「いいよ、じゃあここを離れよう。世界中を旅しようか?」加藤律は私の髪を軽く揺らし、下ろした。
私の涙がすぐに溢れ出し、首を振りながら泣いて言った。「嫌だ」
加藤律はベッドの端に座り、私を抱きしめ、頭にキスをした。「いい子だね、どうしたのか教えて?なぜ泣いているの?」