第268章 山崎浩介

なんて人間の目覚めた鈴木千代なんだろう!

ムースケーキが私の前に置かれ、私の思考が中断された。

顔を上げると、白いカジュアルウェアを着た男性が立っていた。整った顔立ちで、温かい笑顔を浮かべ、どこか見覚えがあった。

でも、私は彼を知らないはずだ。

私が呆然と彼を見つめていると、彼は何の遠慮もなく私の向かいに座った。「南野星、久しぶり、元気?」

私はさらに驚いた。

私の限られた脳の容量では、目の前のこの顔に関する情報を検索することができなかった。

彼は笑った。

「山崎浩介だよ」

この名前、どこかで聞いたことがある。

私の脳裏にひらめきが走り、彼を指さして言った。「あなたは、麦田絵麻のお兄さん?」

彼の笑顔がわずかに引き締まり、うなずいた。「そうだよ」

私は慌てて姿勢を正した。「あぁ、こんにちは」