第376章 条件

この事件の背後には、明らかに操る手があり、南野陽太は利用されたのだ。

私と麦田絵麻、加藤真凜は、思わず平野由奈のことを考えた。

鈴木千代をこれほど憎んでいる人間は、平野由奈しかいない。

鈴木千代の急所をこれほど容易に突ける人間も、平野由奈だけだ。

しかし平野由奈が使った武器は、南野陽太の命だったのだ!

私の心の中の怒りが、少しずつ燃え広がっていった。

加藤真凜がつぶやいた。「南野星、彼女はあなたに約束したはずよ、非道なことはしないって!」

そう、私が怒っているのはまさにそのことだ。

麦田絵麻はため息をついた。「まさか、平野由奈がこんなに冷酷だったなんて。鈴木千代を倒すために、南野陽太の死を利用するなんて。今となっては、南野陽太の死が彼女に誘導されたものではないかとさえ疑ってしまう。」

私は南野陽太が寮に私を訪ねてきた日から、彼が私に言った一言一言を思い返し、心の中の怒りが少しずつ積み重なっていった。

平野由奈、あなたは私があなたの敵になることを望まないと言ったけれど、あの瞬間から私を敵とみなし、こんな日が来ることを予測していたのではないか?

私には南野陽太の手帳を見る気持ちはなかった。あんなに混乱した人間だ、彼の「記録」もきっと混乱しているに違いない。

彼が何を言おうと、私は聞きたくなかった。

加藤真凜は私の怒りを察して言った。「南野星、まず冷静になって。この件はそう単純じゃないと思うわ。今怒るのは少し早いんじゃないかしら。」

スマホを持っていた麦田絵麻が突然言った。「その通りね、南野星、怒るのは早すぎたわ。でも今からなら怒っていいわよ。」

私は困惑して彼女を見た。

彼女はスマホを私に渡した。「ほら、自分で見てみなさい。」

「姉が妹に助けを求め、妹は姉に死をもって抵抗するよう勧める」

「姉が妹に子供を託し、妹は姉に死をもって意志を示すよう励ます」

下の添付画像は、南野陽太が私を訪ねて、建物の下で私と話している写真だった。

写真はあまり鮮明ではなかったが、注意深く見れば私と南野陽太だと分かるには十分だった。

またしても、人を引き込む神秘的な雰囲気を醸し出していた。

ふん、何の労力も使わずに私を巻き込み、しかも弁解の余地を与えない。

「どうする?」麦田絵麻はスマホを持ちながら私と加藤真凜に尋ねた。