第376章 条件

この事件の背後には、明らかに操る手があり、南野陽太は利用されたのだ。

私と麦田絵麻、加藤真凜は、思わず平野由奈のことを考えた。

鈴木千代をこれほど憎んでいる人間は、平野由奈しかいない。

鈴木千代の急所をこれほど容易に突ける人間も、平野由奈だけだ。

しかし平野由奈が使った武器は、南野陽太の命だったのだ!

私の心の中の怒りが、少しずつ燃え広がっていった。

加藤真凜がつぶやいた。「南野星、彼女はあなたに約束したはずよ、非道なことはしないって!」

そう、私が怒っているのはまさにそのことだ。

麦田絵麻はため息をついた。「まさか、平野由奈がこんなに冷酷だったなんて。鈴木千代を倒すために、南野陽太の死を利用するなんて。今となっては、南野陽太の死が彼女に誘導されたものではないかとさえ疑ってしまう。」