第379章 手帳

南野陽太の手帳を開く。

ページごとに加藤蓮と鈴木千代への告発が書かれている。

私は思わず冷笑した。加藤蓮のどの面を下げて、私に彼らと一緒に責任を負わせようとしているのか。

南野陽太は妊娠期間中の状況を細かく記録していた。母親になる喜びがあり、また深い悲しみと淡い絶望も漂わせていて、読むと自然と哀れみの気持ちが湧いてくる。

私たち三人は頭を寄せ合って、とても速いペースで半分以上を読み進めた。

麦田絵麻が言った。「理屈から言えば、南野陽太のような人が産後うつになるとは思えないわ。彼女はこの子をとても愛していたし、加藤蓮にも感情を持っていた。いつか加藤蓮が心変わりして自分のもとに戻ってくることを願っていたのに、そんな人がどうして自殺を選ぶことができるの?」

私は黙っていた。

南野陽太が私を訪ねてきたあの日、彼女の言葉の端々には、すでに子供を託す意図があった。あの時点で、彼女は死をもって加藤蓮と鈴木千代に対抗する計画を立てていたのだ。

彼女の手帳の前半部分の表現からすると、確かに自殺するはずがない。

疑いの余地もなく、彼女の自殺は誰かが一歩一歩と導いたものだ。あの日寮に私を訪ねてきたことも、その人物の計画の一部だったからこそ、あの意味深な写真が残されたのだろう。

私は何気なくページをめくった。

南野星、ごめんなさい。生きている間は、あなたに正直に話す勇気がなかった。死んでからでないと、言えなかった。

あの時の誘拐事件を覚えている?私はあの誘拐事件は加藤蓮の父親と叔父たちが自作自演したものだと思う。彼らの目的は加藤律を排除することだったはず。だから、私たちの中で加藤律だけが最初から殴られていた。あれは彼を狙った誘拐だったのよ。

あなたを騙したのは私。加藤蓮に気に入られたくて、加藤蓮が私にあなたを騙すように言ったの。おそらくあなたのお父さんに身代金を払わせるためだったのでしょう。しつこく付いていったのは私で、私こそが関係のない人間だった。

目をごまかすために、彼らは加藤蓮まで一緒に捕まえた。加藤蓮も私も心の底では分かっていた。私たち二人はずっと一番奥に隠れて、黙っていたから、私たちが一番苦しまなかった。